「独白するユニバーサル横メルカトル 」

「独白するユニバーサル横メルカトル 」

君の不安の原因がなんとかして生き延びようということであるならば、安心したまえ。君は既に死んでいる

「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明光文社文庫
分類はホラー短編集になるのかもしれないけど、予想ほど怖い話はなかった。流血が苦手な人にはわざわざ薦めないけど。
表題作は、まさか本当に地図が語る話だとは想像していなかったので、意表をつかれた。でも、映画「ゴーストライター」に出てくる、BMWのカーナビの方が怖かったような。メルカトル君(仮)はカーナビを馬鹿にしてるけど。
表題作はじめ、オチのある話が多いので、あまり怖い感じはしない。理不尽な展開ということでは「ニコチンと少年」が怖い方かも。文体のせいか、小川未明の童話を連想したけれど、小川未明は下ネタもギャグも書かないか。
個人的には、「Ωの聖餐」が好きでした。数学ネタだけど、「容疑者Xの献身」や「博士の愛した数式」が好きな人に薦めたら嫌われるだろうな。
「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」に登場するMCとココは、「ダイナー」のボンベロとカナコを少し思い出させる。こちらの方が残酷で、好みでした。拷問シーンはクラクラしますが。映画「クーリエ」で貧血になりそうだった人間にはちょっと痛い。