「『恐怖の報酬』日記」

「恐怖の報酬」日記

恐怖というのは、限りなく個人的なものだ。
私がこれから一週間後に乗る飛行機をどれほど恐怖しているか、誰にも想像できないだろう。

「『恐怖の報酬』日記―酩酊混乱紀行」恩田陸講談社文庫
飛行機恐怖症の著者による初海外旅行エッセイ集。
イギリス・アイルランド紀行ですが、観光よりも飛行機への恐怖を縷々つづっている部分が楽しい。本人は真剣に怖いらしいので、笑っちゃ悪いのかもしれないけど。
恐怖を見つめて書き、恐怖から目をそらすために書く。医師の日野原重明先生が、よど号のハイジャックに遭ったとき、自身の脈をとって恐怖に対する体調の変化を記録されたという話を、なんとなく思い出した。職業が身に染み付いてるというか。
恩田陸旅行記はいつも小説のネタがちりばめられていて、サービス満点だけどもったいないなと思ってしまう。『三月は深き紅の淵を』のネタが少しずつ小説になっていったように、これらもそのうち小説になるのが楽しみです。
でもいちばん読んでみたいのは、実現しそうにない「名探偵マザー・テレサ」だったり。北村薫宮部みゆきでもいいので書いてくれないかな(失礼&無理)。「諜報員ガンジー」はローレンス・ブロックを希望。ジェフリー・ディーヴァ―だとガンジーが酷い目に遭いそうだし…いや、ブロックでも同じか。ええと、大沢在昌でもいいです(失礼&無理)。
文庫版は、国内ビール紀行3編つき。こちらはまさに「酩酊」紀行。関係ないけど、札幌の人は札幌を北海道だとはあまり思ってない気がする。暖かいし、札幌。鼻毛は凍るけど、睫毛は凍らない。