中庭の出来事

中庭の出来事

さあ、言ってごらんなさい。いったいどう答えて欲しいの?あなたはどんな真実を求めているの?
『中庭の出来事』恩田陸/新潮社
タイトルから、『蛇行する川のほとり』に出てくる劇の話かな、と思ったのですが全然ちがいました。女子高生が演じるような内容ではなかった。
入れ子状の劇中劇が連なる複雑な構成は読んでいてわくわくしたし、ラストも嫌いではないのに、なにか物足りないと言ったら贅沢だろうか。少々無機質なように感じてしまって。いちばん中心的な謎ははぐらかされてしまうし…。
「女Aが、自分の愛する男Cを殺した女Bをかばうために偽証するのはなぜか」という謎は、クリスティの某作品(タイトルを挙げるとネタバレになるのでポアロ物のわりと地味な長編、とだけ)を連想した。ということはクリスティ作品とは違う動機であるはずだが、さて…?と思いながら読み進めたのですが、こちらの解答はいまいち合点がいかなかったな。
ついでに、楠巴は『三幕殺人事件』(クリスティ)に登場するミス・ウィルズを連想しました。知りすぎて狙われる女ポジション。
細かい話だけど、女の子は噴水の水でコンタクトレンズを洗ったりしないと思う(汚すぎる)。