蛇行する川のほとり

蛇行する川のほとり

彼女は約束を守るだろう。そして、この約束は、彼女の少女の時間を終わらせてしまうだろう。
『蛇行する川のほとり』恩田陸中央公論新社
『少女七竃と七人の可愛そうな大人』(桜庭一樹)の感想に、「望月花梨の絵で読んだ」と書きましたが、こちらは岩舘真理子の絵柄で読みました。
一応、死体もトリックも在るミステリ仕立てですが、それよりも、びっしり張りめぐらされた少女テイストを堪能しました。繊細でふわふわした描線の奥に隠された、少女達のひそやかな悪巧みや愛情。
少女たちが夜な夜な酒を飲んで過去の事件について語らう、というのが何となく『ネバーランド』の女子版っぽい。『ネバーランド』については、そんなにあっさり秘密を打ち明けてくれるなという思いがあったのに対し、本作の「彼女」は秘密を守ってくれそうだ。その秘密には、死で蓋をされているのだから。
『少女七竃〜』とは、少女時代の終わりということと、母娘の物語という共通点があるけれど、呪いはこちらの方が強そうだな。愛があるだけに。
読んでいて、唐突に、『エイリアン通り(ストリート)』(成田美名子)の中の、「略奪された1人の花嫁」が読みたくなり、本屋に探しに行きました。桜の木の下を掘り返したりしなければ…という小夜子と、桜並木で振り向かなければ…という芳野が少しだぶったせいかもしれない。結末は全然ちがうけれど。