『秘密 1〜10』

秘密

「秘密」は形を変えて姿を現す
時に
残酷に

『秘密 1〜10』清水玲子白泉社
死者の脳をMRIスキャナーにかけ、視覚記憶を再現して難事件を解決に導く、科学警察研究所 法医第九研究室―「第九」―の事件ファイル。
警視正が美少女、もとい美青年という設定がピンとこなかったのだけれど、まとめて読むと薪さんのキャラクターなしには成立しないことが納得できました。
最初のころは現代日本画のような華やかな死体描写が印象的でしたが、最近は情報を小出しにするホラー映画っぽい演出が目を引く。もっともホラー要素は前菜で、メインディッシュは心理描写だと思う。
ちょっと興味があるのが、この作品に男性読者は結構いるのかな、ということ。男性読者はこの麗しい少女漫画をサスペンスまたはミステリとして読むのだろうか(偏見ですかね)。
もちろんサスペンスとして読んでも楽しいけれど。新しい技術が開発されると、その技術を悪用した犯罪が起きるところとか。 『絡新婦の理』(京極夏彦)の犯人が榎木津の能力を逆手に取るように(何かちがう)。
しかし漫画だと、事件経過の説明ネームをついすっ飛ばして読んでしまう。小説なら 『ボーン・コレクター』 シリーズ(ジェフリー・ディーヴァー)の証拠物件一覧表なんかもちまちま読むのですが。そういえば、同シリーズの 『コフィン・ダンサー』 には 『秘密』 2巻末にあるような、血痕の形から犯人の偽装を見破るシーンがあった。
ところで、こんなことを言うと作者に嫌がられそうですが、薪さんがエレナで青木がジャックだとしたら岡部さんはエイリアン・エレナに真っ先に捕食されるニック(だったっけ)ですね(酷)。本誌では今まさにクライマックスで、「MELODY」が隔月刊と知らずに奇数月号を探してしまいました。