いのちの食べかた

OUR DAILY BREAD
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我らの日用の糧を今日もあたえ給え。
先頃、殺虫剤の混入した冷凍食品が取り沙汰されていたけれど、こんな事件でもないと、食品の製造現場が目に触れることもあまり無いなと思う。もちろん、だからといって、そのような事件が起こっていいはずはありませんが。
テレビのドキュメンタリー番組のような御仕着せがましいナレーションもなく、淡々と食品の製造過程を見せてくれる映画で、機能的で美しくさえある光景に、ひやりとする。
日本人が一年間に食べる肉は300万トン、食料自給率39%、残飯は11兆1000億円…と、公式サイトに挙げられている数字を見るだけでため息がでてしまう。ニンジンをいつも冷蔵庫で腐らせてしまってごめんなさい。
映画でショックを受けたのは特に食肉の部門で、経済動物たちの取り扱われ方は、まさにモノと言うほかない。でも、牧歌的な経営ならば人間の罪が減るわけでも、ベジタリアンになればいいわけでもないだろうけれど。
食肉工場で働く人々の労働環境も気になった。女性が多く働いているのも意外でした。工場の室温や、労働時間、休憩時間はどうなっているのだろう。ときおり差し挟まれる、人々の食事風景で一息つく。こんなつましい食事を支えるために、大量の動物たちは日々さばかれているのだろうか。
PG12でしたが、子供が見ても大丈夫かな。肉が食べられなくなる子もいそうだ。私は情けないことに、牛の帝王切開シーンでくらりとしてしまいました。「命を大切にしましょう」と言う大人が見たらいいんじゃないかなと思う作品。