夜市

夜市

約束は今日、果たされたんだ
『夜市』/恒川光太郎角川書店
その市場では、望むものが何でも手に入る。異形の者たちが集う「夜市」に、いずみを誘った裕司の目的は…。『百鬼夜行抄』(今市子)が好きな人なら楽しく読めるんじゃないかな、と思う。
ホラー小説ということで恐る恐る読んだところ、思いがけず涙腺を刺激されてしまい、読んでいたバーガー屋で往生しました。
日常の片隅で不意につながる、あちらとこちら。切ない思いを呼ぶ、どこか懐かしい風景。『蛍火の杜へ』(緑川ゆき)を連想しましたが、物語としてはメアリー・ポピンズっぽいかもしれない。
子どもの願いが叶えられるが、叶えられた途端に子どもはそれが本当の望みではなかったことを悟る。メアリー・ポピンズシリーズではもちろん、ポピンズが間一髪で救い出してくれるのだけれど。
ちなみに泣けた箇所は「七十二万円」でした。72万円…!(思い出し涙)…ところで72万円って財布に入るでしょうか。
一緒に収録されている『風の古道』は、もののけ道みたいなものかな、と思いながら読んでました。『夜市』も『風の古道』もどちらも好きだけど、後半の説明部分がちょっと長く感じる。