「ル・アーヴルの靴みがき」

ひさしぶりに映画っぽい映画を観たなあ、と思いました。以下、ネタバレ注意(結末をバラしてます)
公式サイト http://www.lehavre-film.com/
カウリスマキ監督は日本好きらしく、作品もなんとなく古きよき日本映画といった風情がある。シンプルなストーリー、最小限の会話。題材は移民を扱ったシリアスなものだけど、泣いたり叫んだり怒鳴ったりということもあまりない。
少ない会話にユーモアがあって、哀しい展開があっても笑ってしまう。

観終わって、同行した人の感想が「見事な死に方だったね」で、びっくりした。「えっ、死んだと思ったの?」
確かに小説だったら、死んだととる方が筋が通ってるかもしれない。でも私としては、これは御伽噺じゃないかなと思った。もしくは宗教説話(お説教ぽくは全然ないけど)。少年が実は神様(あるいはキリスト)だったのでは…というのは考えすぎかもしれないけど。神様と握手すれば奇跡がおきても不思議ではない、と。
それはともかく、少年の大きい、哀しみをたたえた瞳が印象的でした。コンテナを開けたときに、ひとりひとり映し出される移民の顔も、宗教画のようで不思議な気分になった。ホンマタカシさんの映画評(週刊朝日だったかな)に、ライティングが凝っているとあったので、そのせいなのかも。素人には分からないけど。
洒落者の刑事がポアロさんみたいで素敵。